フリーランスとして動画編集のお仕事をしている場合、請求をする際に「源泉徴収」をした方が良いのかどうか迷うことがあると思います。私自身、個人事業主として動画編集の仕事をしていた時に、取引先に請求をする際に源泉徴収をした方が良いか判断に迷うことがあり、その時に色々と調べてたどり着いた答えを今回の記事でまとめました。
今回の記事では動画編集者が請求をする際に源泉徴収をする必要があるのか、ということについて解説していきたいと思います。実際に税務署に電話をして聞いた税務署の見解もお伝えします。
源泉徴収とは
所得税の支払いは、「申告納付制度」と「源泉徴収制度」が採用されています。申告納付制度とはその年の所得金額とこれに対する税額を計算し、自主的に申告をして納付するもの、源泉徴収制度は所得の支払いの際に支払い者が所得税を徴収して納付するものです。
・申告制度・・・自主的に申告・納付
・源泉徴収制度・・・支払い者が徴収・納付
国税庁:源泉徴収制度の概要
源泉徴収が必要な範囲
報酬や料金等を個人が受けとる場合の源泉徴収の対象となる範囲はこちらになります。
1 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が50,000円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
2 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
3 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
4 プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
5 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
6 ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
7 プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
8 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
国税庁:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは
動画編集を個人で行う場合に源泉徴収の対象となるか
では、動画編集を個人で行う場合、先ほどご紹介した源泉徴収の対象となるか、について見ていきましょう。
税務署によって定められているのは映画・ラジオ・テレビ
関係してきそうな部分は第204条 第1項5号の報酬・料金となります。
<区分>
映画、演劇その他芸能又はラジオ放送やテレビジョン放送の出演や演出又は企画の報酬・料金
<報酬・料金に該当するもの>
映画、演劇、音楽、音曲、舞踊、講談、落語、浪曲、漫談、漫才、腹話術、歌唱、奇術、曲芸や物まね又はラジオ放送やテレビジョン放送の出演や演出又は企画の報酬・料金
<演出に含まれるもの>
「演出の報酬・料金」には、指揮、監督、映画や演劇の製作、振付け(剣技指導その他これに類するものを含みます。)、舞台装置、照明、撮影、演奏、録音(擬音効果を含みます。)、編集、美粧又は考証の報酬・料金が含まれます。
<映画や演劇の製作、編集に含まれるもの>
映画又は演劇関係の監修料(カット料)又は選曲料が含まれます。
国税庁:第5 報酬・料金等の源泉徴収事務
この文面通りに見ると、「映画、ラジオ、テレビ」に関する撮影や編集でなければ源泉徴収の対象とはならなそうです。
実際に税務署に電話をして尋ねて見たところ源泉徴収しなくて良いと
上記の国税庁の資料から、『源泉徴収の対象とはならない』と判断していたのですが、個人の動画編集者の取引先からも「源泉引きますか?」と尋ねられたので、少し不安になり実際に税務署に電話してみました。そうすると、先ほどの文面通り「映画、ラジオ、テレビ」に該当しないのであれば源泉徴収しなくて大丈夫とのこと。文字通りに解釈してくださいとのことでした。
ただし、あくまでも電話に出た担当の方の解釈にもよるのですので、100%大丈夫と言い切ることはできません。
企業側の税理士からは源泉徴収するようにと
また逆に、私自身が個人事業主として動画編集の仕事をしていた際には、依頼側の企業税理士からは源泉徴収を引く形で請求をお願いしますと言われたこともあります。
つまり、
税務署:源泉徴収しなくて良い
税理士:源泉徴収するように
と判断が別れていた形になります。では結局、源泉徴収は引いた方が良いのか引かなくて良いのか。どちらでしょうか?
結論:現状は文面の通りに判断
現在のところ、文面通りテレビやラジオ、映画などの編集に携わる場合にのみ源泉徴収をする形で請求して良いかと思われます。しかし、法令が定められた時代にYoutubeなどの媒体はもちろんないですし、実質行っている作業としてはテレビ映像の編集と大差が無いとも言えるかと思います。
現在動画編集のお仕事を個人で行なっていて、
・源泉を引かないで請求することに対して心配がある
・企業から源泉を引くよう依頼がある
といった場合には、手取りは少なくなりますが源泉徴収をした状態で請求をして、その後確定申告をして源泉徴収で引かれた税金を還付させる、という方法も検討してみると良いでしょう。
テロップ代金は”デザイン”として源泉徴収が必要
また税務署の質疑応答事例においては、「テロップ代金」についてはデザインの報酬として源泉徴収の必要があるとされています。
<質問内容>
A社は、テレビ放映に使用するいわゆるテロップを制作しています。ところで、その制作の一部を個人に外注していますが、このテロップの代金を支払う際には源泉徴収をする必要がありますか。
<回答趣旨>
いわゆる「テロップ」の代金については、デザインの報酬として源泉徴収の必要があります。デザインとは、一般に実用的美的造形を計画し、これを可視的に表現することをいいます。「テロップ(装置)」(television opaque projector)とは、一般にテレビ放映の際に通常のテレビカメラを通さずに絵画、図面、文字等を送信する装置をいい、その送信のための文字等の制作の対価は、デザインの報酬に該当します。テロップ代金
動画編集の際に、多くの場合テロップをつける作業があるかと思います。ここではテロップ部分が「デザイン」と言われており、源泉徴収の対象となると言われています。「デザイン」についての報酬についての考え方はこちらになります↓
<区分>
デザインの報酬
<報酬または料金に該当するもの>
映画関係の原画料、線画料又はタイトル料、テレビジョン放送のパターン製作料、標章の懸賞の入賞金
〔原稿等の報酬又は料金(第1号関係)〕
ただし、またここでも映画関係、テレビジョン放送と言われているため、Youtubeなどの媒体のテロップ入れが含まれると明確に言われているわけではありません。
確定申告で源泉徴収分を還付する方法
先ほどお伝えした通り、源泉徴収をした形で請求するとその分手取りが少なくなります。その差し引かれた分を還付させることができるのは、確定申告です。
毎年2/16〜3/15に行う確定申告にて、所得税を納めすぎているという場合には還付金を受け取ることができます。動画編集の請求の際に源泉徴収で差し引いていた金額も、確定申告の際に引きすぎていると判断された場合には、還付させることができます。
還付金は申告書の提出から1ヶ月程度で入金されます。
まとめ
今回は動画編集の請求で源泉徴収した方が良いの?という疑問について、国税庁の法令や実際に電話して聞いて見たところの内容をお伝えしました。
現時点では法令の中で映画、テレビ、ラジオと書かれており、その他の項目、特に現在のYoutubeなどの編集については触れられていません。
しかし税理士によっては源泉徴収しておいた方が良いと判断している事務所もあります。そのような判断の理由としては、Youtubeが実質的にはテレビなどの媒体と変わらないと税務署に判断された場合に、源泉徴収の義務が発生する可能性があるからだと考えられます。
個人事業主の動画編集者においては、請求の際に源泉徴収をしておいて、後に確定申告で還付させる、という方法もあるので心配な方はその方法を検討してみると良いでしょう。


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